後ろ手に
手を振る父の丸い背に
ふいに涙こぼれる帰京の朝(あした)


別れ際、
「元気でいろよ」と手渡しの
無造作なみやげが父らしく…

「ごめんね」の言葉は、
いつもそっと
心のなかだけで呟く


故郷(ふるさと)の空は、
昔と変わらぬ寡黙な灰色をして

不器用な私たち父子によく似ている